Qスイッチって何? ルビーって?

Qスイッチとは、ナノ秒(10億分の1秒)の単位の短時間で高出力のレーザーを照射する機構を備えたレーザーのことで、これに対して、ピコレーザーとは、さらに短いピコ秒(1兆分の1秒)の単位の短時間でレーザー照射するレーザーのことを言います。ピコレーザーの方が新しく、比較的高価な機材となりますが、Qスイッチルビーレーザーも長く使用されてきた信頼性の高いレーザーです。

レーザーは種類によって波長が異なり、波長によって得意不得意があります。
ルビーといわれるレーザーは、波長が694nmのもので、一部のシミの主な原因となっているメラニンへの選択性が高く、この手のシミにとても有効性の高い治療機材です。それゆえ、低出力でもターゲットとなるメラニンを破壊できることから、炎症後色素沈着(PIH:post-inflammatory hyperpigmentation)などの副作用が、低く抑えられます。
また、酸化ヘモグロビンへの吸収も低いことから、血管へのダメージも起こりにくく、このことも炎症後色素沈着(PIH)を低く抑えることに寄与しています。

スポット照射と、フラクショナル照射

レーザーは色が濃いものほど鋭敏に反応しやすいので、高い効果を発揮します。その一方で、深いシミ・アザの類のものであったり、色が薄いシミには効果が限定的になります。こうした、シミに反応させるためには、出力を上げる必要がありますが、出力を上げると、合併症としての炎症後色素沈着(PIH)も強く起こりやすくなってしまいます。また、肝斑などのメラノサイトの活動性(AMC:Activity of Melanocytes)が亢進が原因となっている病変が混在していると、スポット照射によって、治療効果が出にくいばかりでなく、やはりPIHを起こしやすい状態となってしまいます。そのような場合は、照射前に、トラネキサム酸の内服などをして、できる限り副作用を予防します。

そのため、濃く、真皮よりも浅いシミに対しては、シミの部分だけにターゲットにしたレーザー照射(スポット照射)して、薄いシミや広範囲に散在するシミに対しては、PIHのような合併症によるダウンタイムが少ない穏やかなレーザー照射を定期的に行うことも1つの方法です。当院採用の「Q+R EVO」には、通常のスポット照射に加えて、フラクショナルという照射方法があり、これがダウンタイム(施術を受けた後の腫れや赤み等の副作用が出る期間)の少ないレーザー治療に該当します。施術部位をテープで保護するなどの手間がかからないマイルドな治療である分、基本、複数回の施術で効果を出す治療にはなります。当院には残念ながら、今のところ、HIFUなどたるみに特化した機器がありませんが、広範囲に照射することで、シミだけでなく、肌質やハリの改善も期待できるのが、ルビーフラクショナルレーザーのいい所です。

炭酸ガスレーザーの項でも、フラクショナルレーザーという単語が出てきますが、炭酸ガスレーザーのフラクショナルは、剥皮的フラクショナルレーザー(AFL:ablative fractional laser)といわれるのに対し、このルビーレーザーを用いるフラクショナルレーザーは、非剥皮的フラクショナルレーザー(NAFL:non-ablative fractional laser)と言われ、同じフラクショナルでも、その趣は大きく異なります。NAFLは、AFLに比べて組織の蒸散がなく、剥皮されない分、上皮化が早いので、真皮に直接作用させつつ、ダウンタイムを抑えた治療が可能となっています。これらを踏まえ、シミの種類や状態に合わせて、治療方法をご提案します。

保険適用疾患に対応可能な承認機!

当院採用のQスイッチレーザーは、
厚生労働省承認のレーザー機器 「Q-SW ルビーレーザー Q-PLUS R EVO(イタリアQuanta社製)」です。

承認機が優れていて、未承認機が劣っているとは一概に言えませんが、承認機でなければ保険診療はできません。Qスイッチルビーレーザーでは、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着、扁平母斑等が、保険適用疾患となります。